最高裁判所第二小法廷 昭和32年(あ)1466号 決定 1960年9月09日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人安達勝清の上告趣意第一点は、違憲をいうが、その実質は事実誤認、単なる法令違反(訴訟法違反を含む)の主張に帰し(なお、日本薬局方に登載された規格及び品質に適合しないいわゆる一発物と称せられる粗悪品であっても、尚ヅルチンとしての化学的品質を有するものである以上、これを製造移出する行為は物品税法上課税の対象となるものと解するを相当とするから、この点に関する原判示は正当である。)同第二点は、違憲をいうが、実質は単なる訴訟法違反の主張にほかならないものであって(なお、記録編綴の大阪国税局長大蔵事務官塩見俊二作成名義の昭和三二年三月一二日付告発書によれば、犯則けん疑者として1和歌山市湊薬種畑一二八〇番地、高松化学工業株式会社((代表取締役高松義男))と記載されているから、同被告会社に対しても収税官吏の告発のあったことが明らかである。記録三八丁以下。また、被告人高松義男は記録上昭和二九年一月一四日より一四日間告発なくして勾留され云々の主張は、原審で控訴趣意として主張、判断されていない事項に関するものであるから不適法である。)刑訴四〇五条所定の適法な上告理由に当らない。また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田 克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)